医療法人
森川クリニック

てんかん先生のつぶやき

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第四回「入所(入院)施設データベース制作にご協力下さい」(平成17年3月)

このコーナーも、もう4回目になりましたね。
春の行楽シーズンをむかえ、また万博もオープンしたことだし、もっと楽しい文章を、と思うのですが、結局今回もかなり実践的な、しかしとても大切な”つぶやき”になってしまいました。この問題は、昨年まで静岡てんかんセンターでも、必死に情報収集していたことです。

それは、重複障害を持つ患者さんたちについて、ご両親の高齢化によって(もちろん高齢化していなくても、家庭の事情によって)短期・中期・長期滞在型の施設の実態を、各地域毎に把握したいということです。

現在私なりに、約30施設についての場所と電話番号、収容人数・スタッフの人数・活動状況、そして空き状況を把握しつつあります。しかしこれだけでは「氷山の一角」にすぎません。

現時点・もしくは近い将来、このような施設がないと、家族破綻(に近い状況)が予測される人達が多数おられます。これについては、愛知・岐阜・三重県の行政、日本てんかん協会支部、そして森川独自のネットワークを利用して、誰もがアクセスできる、詳細かつ正確なデータベースが必要です。

もっとも私の無知で、既にこのようなデータベースが、波の会か熱心なご家族がお持ちなのかもしれません。そこで、皆様が持っておられる知恵、そして情報を拝借したいのです。

どうか宜しくご協力お願い申し上げます。
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第五回「心はどこに?」(平成17年5月)

若い頃から「意識とはなんだろうか、人の精神・心の座はいったいどこにあるのだろうか」という問題に興味を持っていました。てんかん発作症状の切り口から、意識の有り様を研究テーマの一つにして解決できないままに20年以上があっという間に過ぎてしまいました。

意識を厳密に定義することは、時間を定義することと同様に難しいし、医学者・科学者・哲学者によって定義も異なっています。医学的には「自分自身の状態が性格に認知でき、外界・周囲の認知も正常で、内的・外的刺激に対して適切な判断を下し、適切な対応・行動が可能な状態」と、説明されます。神経生物学的には「意識は人類のみにあるのではなくて、哺乳類全体にも存在する」とも考えられます。さらには覚醒・睡眠のレベルでの研究を調べてみると、もっと下等な生物にも意識の原点は存在するということになります。最近ではロボットが心を持ったら人類はどうなるのか、といった論議も盛んになってきました。

現時点での私なりの結論的には、意識は大脳皮質のみに局在はせず、体全体の感覚受容器官(痛みなど)も関与しているということになります。(つまり、心の座はどこにあるのかという疑問設定そのものに問題があるということになりますが…)

ここまでは科学的探究の範囲です。でもそれだけで皆さんが納得するでしょうか?

真面目な日本人は、より理想的な心・精神を期待しているはずです。これには新渡戸稲造が明治時代に英語で書いた「武士道」が古き良き精神面の一面を示しているのかもしれません。ここまで論点を導いてくると、かなり無理があるかもしれませんね。そして自分自身が年を取ったせいか、心は「定義できない人それぞれに固有の、最も大切な人の機能」として、そっとしておきたい心境となっております。

皆様のご意見を頂きながら更に納得できる意識の本質について、もっともっと解り易い文章を書きたいと切に願っております。
第六回「『てんかん』という病名を変えたい!」(平成17年9月)

これまでにもずっと考え悩み、「てんかん」という病名を例えば「神経細胞膜症」といった、より正しくて誤解を招かない病名(英語名で言えば:Neuronal cell membrane disorder)に変えたいと、切に切に願い、少しずつ働きかけてきました。今回はまた少し長めになってしまいましたが、一緒に考えていただければ、と思います。

「てんかん」という病名が正しくその病態を表しているのでしょうか? 答えは「否」です。日本では千年以上の長きにわたって、この誤解されやすい病名が用いられてきました。医学研究が飛躍的に進んだ21世紀に、この間違った病名「てんかん」を先にも述べたとおり、より正確で解り易い病名に変えたい!!・・・むしろ変えねばならない!!!と思うわけです。

他ページ(「てんかんについて」)の「てんかんの歴史」でも述べたとおり、「てんかん」という病気の歴史的記載ははるか紀元前まで遡ってみることができます。日本でも聖徳太子の時代に「癲癇」という言葉が中国語から作り出されました。現代では平仮名で「てんかん」と呼ぶようになったことは前に述べたとおりです。

しかしながら、平仮名で書いたとしてもやはり「てんかん」の「てん」は「精神障害」を意味しているわけで、この病気の正しい病名とは言えないのです。

最近の医学研究の進歩にともない、この病気の原因が、神経細胞膜の過剰放電であることが明らかになってきました。例えばある種のてんかん症候群では、遺伝子のアミノ酸配列異常によって、イオンチャンネル(ナトリウムやカルシウムなどの電解質を通過させる筒)の機能異常が発生し、その結果発作が出現することが解ってきたのです。また、正常なヒトであっても極端な睡眠不足や、自然界ではありえない赤色閃光にさらされると、神経細胞膜の機能異常が発生し、同様の発作が起きることはポケモン騒動の事実でもお分かりいただけるのではないでしょうか。

そうです。皆さん自身が「てんかん」という病名に疑問を持ち続け、そして苦しんできたことは、実はどこかで真実に気づいていたからに他なりません。だからこそ、「てんかん」という病気に対する無理解、誤解、ひいては非科学的な差別が実に長い間、まことしやかに伝えられてきた歴史を、21世紀をもって終結させたいのです。

「神経細胞膜症」は、その一例として森川が提案いたしましたが、もっとふさわしい病名があれば、皆さんと話し合いながら病名改変を出来るだけ早く実現したいと、切に、願っております。
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